東京市場では、ドルがじり高の動きを見せました。スピードは非常にゆっくりでしたが、「寄り付き安・大引き高」の様相が見られました。ドル/円は、寄り付いた150円前後から日中安値にかけて緩やかに右肩上がりました。早朝に伝えられた植田日銀総裁の発言をきっかけに、クロスを含めて円売りが広がりました。しかし、日本当局の円安けん制の動きを警戒する向きもあり、ドル/円の上値は重い状況です。150円半ばでは上昇が抑えられ、16時現在でもわずかに緩んだ150.35-40円で推移しており、欧米市場を迎えています。

一方、注目されていた材料は「日本の金融政策」と「ロシア情勢」です。前者は、先週以来、日銀総裁や理事らの発言を総合すると、日銀が金融緩和へ向けて舵を切っている印象がありますが、姿勢は依然として慎重なようです。次回の日銀金融政策決定会合は3月18-19日に開かれます。本日早朝には、Ｇ20財務相・中銀総裁会合後の会見での植田発言が報じられ、わずかながら円売りの要因となりました。「物価目標実現見通しはまだそこまで至ってない」とか、「インフレ率はかなりのペースで減速傾向」など、内容は市場予想よりも弱めだったようです。後者のロシア情勢では、プーチン大統領が今月実施される大統領選を視野に入れた年次教書演説を行い、国内インフラの再活性化を柱とする6年間の経済計画を発表しました。ウクライナ侵攻については強気の発言もあり、「国民の主権と安全を守るため」として侵攻を正当化しました。しかし、米国務省のミラー報道官からは、「ロシアが核兵器の使用を準備している兆候がない」という否定的な発言もありました。